リチウムバッテリーの捨て方、廃棄方法を調べてきた

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リチウムバッテリー使ってますか!

高いけど、鉛バッテリーのボイジャーなどと比べたら圧倒的な軽さと高電圧&消耗しても落ちない電圧、さらにロングライフ、といい事尽くめのリチウムバッテリーですが、水に弱く壊れやすいという弱点も持っています。

ところで、買うのはいいけど、壊れたとかいらなくなったとかで捨てるときのことを考えたことはありますでしょうか?

自分はたくさんのリチウムバッテリーを購入しては、水没故障したり修理して使ったりしてきてますが、いよいよ不要なバッテリーも出てきたので廃棄しようとしたところ、非常に困ってしまいました。

最終的には無事正しい方法で廃棄することが出来たので、この記事でその方法のご紹介をしようと思います。

 

 

リチウムバッテリーの選択肢

エヴォテックやリチビーから始まったリチウムイオンバッテリー旋風ですが、その後も多くのメーカーから新たな製品が発売され、我々ユーザーにとっては選択肢が増えてきていることはご存知のとおりかと存じます。

24V 90A リチウムディープサイクルバッテリー SE-24900 EVOTEC/エヴォテック

24V 90A リチウムディープサイクルバッテリー SE-24900 EVOTEC/エヴォテック

Lithi-B(リチビー) リチウムイオンバッテリー 24V80Ah 19.9kg

Lithi-B(リチビー) リチウムイオンバッテリー 24V80Ah 19.9kg

製品によっては低価格なものも提供されるようになってきていますが、それでも気軽に買えるほど安価とは言い難い現状は事実としてあります。

そんな中でコストを掛けずにリチウムバッテリーを購入できるとあって大人気を博しているのが中国AliExpressなどで購入できる通称「中華リチウム」です。

中華リチウムはセラーによって当たりハズレが激しく、容量詐欺(100Ahと謳って販売してるけど中身は80Ahしかなかった、など)は当たり前、防水と謳っていても全然防水処理なんてされていない、充電器が壊れて充電できなくなった、使ってるうちにどんどん劣化していって1年も経たずに購入時ほどの蓄電性能がでなくなった、ひどいセラーだと中に石が詰められていたとかまで耳にします。

中華リチウムもいろいろ使ってきた自分としては、現時点では今後は買わないという判断をしています。

アフターサービス、安心して使える性能など、信頼面でも難しいですし、何よりも「廃棄する際に非常に困る」という大きな問題を抱えているからです。

一般的なリチウムイオンバッテリーの廃棄方法

ロングライフ長寿命といってるのに捨てるとは何事か、という感じですが、長い目で見たらいつか捨てる日は来るのです。
それが寿命なのか、中華リチウムが粗悪で表記よりも圧倒的に単寿命だったのか、不要になったのか、壊してしまったのかはわかりませんが、いつかは廃棄しなければなりません。

エヴォテックやリチビー、EV-CUBEやRioTankなど、日本で販売されている製品の場合は、メーカーに出せば引き取ってくれることがほとんどのはずですので、基本的に廃棄するにも心配は要りません。

問題になってくるのは、安価だからと買ってしまって海を渡って日本にやってきた「中華リチウム」です。
空輸で海外にリチウムイオンバッテリーを送るというのは新品の返品ですら大変なのに、故障したバッテリーなどどれだけ苦難があるのか、費用だって想像したくありません。
そもそも送り返す以前に中国のセラーが廃棄を受け付けてくれるとは到底考えにくいです。

ここで一旦話を変えますが、リチウムイオンバッテリーというもの自体は何もエレキや魚探だけに使われているわけではありません。
みんなが持ってるスマートフォンやノートパソコン、携帯ゲーム機やモバイルバッテリーなど、軽くて小さくて持っていることを意識しないけど蓄電機能を有している製品のほとんどにはリチウムイオンバッテリーが搭載されています。

たまに劣化したバッテリーが膨らんでしまっているスマホとか見たことがあるかと思いますが、ああいうのは捨てる時どうするのか?

環境省のページを見てみるとこう書いてあります。
https://www.env.go.jp/recycle/waste/lithium_1/index.html 

 リチウムイオン電池は、破損・変形により、発熱・発火する危険性が高く、それ以外の廃棄物に混入したリチウムイオン電池が出火原因となった事例が多数報告されています。

 不要になったリチウムイオン電池や電池使用製品は、ご家庭から出る場合は、お住まいの市町村のごみ捨てルールに従って、捨ててください。また、事業所や工場から出る場合は、分別して、処理が可能な産業廃棄物処理業者に委託してください。

というわけで、必ず適切な処理が必要になります。
爆発火災などに繋がりますので、絶対に燃えないゴミなどに混ぜて出してはいけません。

廃棄への第一歩は市区町村に問い合わせるところから始まります。
自分が現在住んでいる江東区のページを見てみるとこんな感じ。

https://www.city.koto.lg.jp/381104/lithium-ion.html

小型の電池ならほとんどの市区町村が回収してくれるようです。
廃棄費用や集積方法は捨てるバッテリーの種類や市区町村によって変わるようです。

大型電池についてはどうするのか区役所に聞いてみた

で、エレキに使うような24Vや36Vの10kgを超えるような大型電池については記載がありませんので、区役所に電話して聞いてみました。

というのも、水没させてしまってから修理せずに放置していたバッテリーを久しぶりに見たら、いつの間にか大きく膨張して危険な状態になっていました…

リチウムイオンバッテリーの中でも比較的安全性の高いLiFePO4(リン酸鉄リチウム)とはいえ、この状況は危険度が高まっていると判断し、速やかな廃棄をする必要に迫られてしまったのです。

区役所の方に相談すると、メーカーや製品名を聞かれます。
中華リチウムのメーカーや製品名を答えても意味がないので、中国の通販サイトから購入したディープサイクルバッテリーです、と伝えましたが、「なんか怪しいものっぽいな」という印象を与えてしまっただけな感じ…

次にサイズと重量を聞かれ、返答しました。
このバッテリーはボイジャーM27MFなどと近い寸法で、重さは約13.65kg。
ある程度の大きさや重さなら、近隣の廃品回収業者などが引き受けてくれるかも、とのことでしたが、この大きさになるとおそらく難しいとのこと。

何社か都内の廃棄業者をご紹介いただきましたが、どの業者さんも「鉛バッテリーなら引き取りますよ。リチウムイオン?そりゃうちじゃ無理だわ」というご返答…

再度区役所に泣きついてみても、「業者の紹介は可能ですが、区としてはそれ以上どうすることもできません。産業廃棄物としてご自身でなんとかしていただくほかには何も申し上げることができません」という回答。

そんなこといったって、下手したら爆発するかもしれないものを捨てることが出来ないって、あとどこに相談すればいいんですか?と食い下がるも、ですから産業廃棄物として…という感じで、区役所の方を困らせてしまうのみでした。

そもそもそんな危険性のある物品を個人が海外から購入している時点で限りなくグレーな、行政としては想定されていない事態であるということなのです。

産業廃棄物業者に相談してみた

仕方なく、区役所のいうとおり産業廃棄物の取り扱い業者さんを自力で探してご相談してみました。
今回ご相談したのは神奈川県厚木市にある「株式会社エスアール」さん。

廃棄物関連の窓口に電話でご相談したところ、個人での産業廃棄物処理という形で引受可能とのご返答が!

さっそく持ち込み訪問のお約束をして、厚木まで伺ってきました。

株式会社エスアールさんの受付

受付で電話でお約束した旨をお伝えしまして、ご担当者の方が案内してくださいました。
ざっくり受けた説明としてはこんな感じ。

・かなり異例ではあるが、個人で産業廃棄物の処理申請を行うことは可能である

・正式な手続きとなるので、個人と廃棄会社間で契約書を締結する必要がある(これ自体は無償)

・廃棄費用は重量を測定してグラム単位で決定される

産業廃棄物管理票(マニフェスト)と呼ばれる書類、株式会社エスアールさんと自分の間で廃棄物処理を委託する契約書に必要事項を記入し、受付に提出します。
なお、契約書類などになりますので、印鑑が必要になります。

続いて廃棄するバッテリーの重量を測定しに工場内へ。

写真が液晶写しきれてないですが、13.65kgということで受理してもらえました。

続いて受付に戻って精算と契約締結です。

今回は13.65kgで9,009円(税込)で処理を引き受けていただくことができました。
単価は600円とありますので、1kgあたり600円ということですね。

後ろに見えるのは産業廃棄物処理を委託する契約書類です。
契約書なのでかなりしっかりした内容になっており、署名捺印とページを跨ぐ場所への割り印をします。

これにて廃棄の依頼は完了ですが、このマニフェストと呼ばれる産業廃棄物管理票の書類は行政などを経由して、半年後くらいに自宅に処理完了の証明書が届くことですべて完結するそうです。

エスアールさんに色々聞いてみた

すべて完了したので、少し雑談というか質問させていただいたら、快くお答えいただけたのでその内容を少し紹介しますと…

前述の通り、個人で産業廃棄物を持ち込まれるケースは極めて異例で、今回のような国産ではない産業廃棄物(大型リチウムイオンバッテリー)を個人が所有している事自体がまれだそう。

「こんなバッテリーを個人で一体何に使っているのか?」と聞かれて、釣り船の動力となるモーターや魚群探知機の電源に使ってます、とお伝えしたら驚かれていました。

「リチウムイオンバッテリーを釣りに使っているのは一般的なのか?」と聞かれたので、最近は増えてきていると思います、と。

周りでもこういったバッテリーの廃棄に困っている人がちらほらいるし、市区町村では受け付けてもらえなかった結果、こちらの業者さんを見つけました、とお伝えしたところ、ぜひ廃棄でお困りの際はご紹介ください、とのことでした。

同じように中華リチウムを捨てたいけど困ってる、という方はぜひご相談してみてください。

https://kk-sr.co.jp/publics/index/71/

関東圏でない方も、産業廃棄物の取り扱い業者を探して、個人での依頼が可能か聞いてみるとよいかと思います。

結論:中華リチウムはおすすめしません。

というわけで、たかがバッテリーの廃棄といっても非常に大変だし、13.65kgで9,000円の費用がかかりました。
行政で対応方法がない、と言われたときの途方に暮れる感じはけっこー痺れました。

たしかに中華リチウムは安いです、それは多少のリスクを伴ったとしても圧倒的な魅力です。

しかし、前述の通りハズレ業者を引くと粗悪品が届くのは全然少ないことではないし、無事に使えていても性能劣化が異様に速い、表記通りの電力を持っていない、などの品質面でのリスクが非常に高いことに加え、捨てるにもこれだけ大変な手順と廃棄費用が待っています。

(今回依頼したエスアールさんは親切丁寧にご説明ご対応してくださったので、ご相談してからはそれほど大変ではなかったのですが)

逆に、自分が使っているエヴォテックのリチウムイオンバッテリーは、水没、落下によるケース破損をした際、エヴォテックの発売元であるエヴォルテックジャパンさん本社(東京都葛飾区)に直接持ち込ませていただいて見てもらったところ、安心感の塊のようなご対応をしていただけました。

余談ですが、エヴォルテックジャパンさんでは中華リチウムを含む社外品についても検査やご相談を受け付けてくださっています。
自分も別の中華リチウム(自分で中身は粗悪品だと分かっていた)を持っていって検査してもらいましたが、これは出来るだけ使わない方がいいのと、エヴォルテックで修理することは責任が持てないため引き受けられない旨、どの部品がどんな感じ、といったことを細かく丁寧にご説明いただけました。

エレキや魚探用だけでなく、車用なども手掛けるプロのバッテリー屋としての技術力や信頼性は圧倒的すぎるものがあり、自分はそれ以来リチウムイオンバッテリーを購入する際はエヴォテックと決めています。

主観も混じっていますし、素人が独学で学んだリチウムイオンバッテリーの知識で語るものではありませんが…

自分は中華リチウムを今後新たに買うことはもうありませんが、これから導入を考えられている方はこういう側面もあるということを鑑みて、よくご検討されるとよいかと思います。

ちなみに、鉛バッテリーってなんだかんだで優秀ですよ。
壊れない、水に強い、すぐに買える、安い、重いから船の喫水バランスが整いやすい、など。

最後にお詫びがございます。

自分には以前は中華リチウム安い!ちゃんと動くし神!壊れても自力で直せばそれほど費用もかからない!などと持て囃してきた経緯があります。

買って、使って、壊して、直して、ハズレ引いて、感電したり火花散らしたりしながら、独学でリチウムイオンバッテリーのことを学んできました。
その甲斐あって、素人にしては知っている方だと思います。

その上で、ここに来て中華リチウムを勧めないという方針転換は、「くれぐれも自己責任で」と免責を添えたものの、お前が勧めたから中華リチウム買ったんだけど?というご意見をいただくことも当然かと思います。

その節は本当に申し訳ございませんでした。

今お持ちのバッテリーが問題なく使えている場合は、無理に乗り換えなくてもいいかもしれませんが、いつか廃棄することになった際はこの記事をご参考になさっていただければ幸いです。